春先になると、職場では「GWは、どこかへ行くんですか?」という質問を度々受ける。そして会話に困ったら、私からも聞く。
ここ数年は、誰に聞いても「GWは人が多いからどこにも行かない。」という答えが多く、もちろん私も、どこにも行かないと答える。今年もそうだ。
そんな中、女性の先輩から、「今年のGWは、何か目標はある?」と聞かれた。
その先輩は、「女性の活躍する社会」などという謎の呪文が唱えられるうんと前から活躍され、初めて職場内でお見かけした時に、なんて素敵なお方なんだろうと驚きととともに強く惹かれたお方である。
それにしても、目標ですか。
言葉に窮した私は、先輩に聞き返していた。聞くと先輩は、毎年GWにやりたいことを、目標として掲げておられるらしい。
ちなみに今年は、「(曲名は忘れたが)楽譜を読む。」なんだそうだ。
私は、学校の授業以外で楽器を学んだことがなく、楽譜を読むということの意味は全くわからない。しかし、その聞きなれない響きに押され、先輩の目標が教養に溢れ、品がものに聞こえて、いたく感心してしまった。
さすがは、乗馬も嗜む先輩だけある。
そして謙虚な先輩は、「まあ、毎年、これをやろうと目標を立てるけど、あんまりできずに終わっちゃうんだけどね。」と笑っておられた。
ならば、と私も負けじと目標を掲げることにした。先輩の目標に負けず劣らず、教養に溢れ、品のある目標はないものか。
「私は、『ゲーテとの対話』を読みます。」
私は、勢い余って買っただけで賢者になったような気がして、ちらりと開いてそのままになっている本を読むと宣言した。そうだ私は、やると決めたらやる女である。
こうして強い決意とともに、GWは始まったのだった。
1日目。21時をすぎて、目標を本を立てていたことを思い出した。しかしとにかく本は開いた。
2日目。午後から本を開いた。しかし体勢がよくなかった。寝転んで、本を読もうとしたために、結果として、読むと寝るの区別がつけられなくなった。しかしとにかく、本意書いてあった文字は読んだ。
3日目。十分な休息により、疲れも取れ、眠気も緩和されたようで、本は読めた。
GWも残すところあと2日。私のGWの目標は、あくまでも本を読むことであり、全てを読み通すことではない。そう考えれば、目標は達成できたといっていいだろう。
私は、なんとなく高尚な目標を達成したのだ。
かの先輩は目標を達成したのであろうか。そういえば先輩も全てを読むとは言っていなかったような。私が心配しなくとも、きっとGWを過ごしておられることだろう。
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私を綴るエッセイ的なものたち