てつねこくおりてぃ

私の好きなことを書くブログ

【エッセイ】赤い革の手帳

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かれこれ5年ほど前から、同じ手帳を愛用している。

その手帳は、1日1ページ設けているのが特徴で、大きさはA5サイズと文庫本サイズの2種類ある。私は、A5サイズを選んだ。とってもお気に入りなのだが、いかんせん、とにかく大きくて、分厚く重い。その上、私は、手帳を覆う赤い牛革のカバーをしている。おかげで、手帳は、さらに分厚く重くなった。それでも、私はこの分厚くて重い手帳を、後生大事に持ち歩いているのだ。

 

さて、先日、さあ新しい年に向けて注文していた手帳が届いた。驚いたことに、届いた手帳は、A5サイズならぬ文庫本サイズだった。手に取ってみると、それは、大きさも重さも、半分になったにすぎないが、とにかく小さく、あっけないほど軽い。私は、どうやら注文を間違えてしまったようである。

私は、届いた手帳をじっと見つめた。ううむ。この手帳、どうしてくれよう。

 

やり場のない怒りは、これまで使っていた手帳にも向けられた。

なんでこんなにでかいんだよ。

 

しかしまあ、今年の手帳を振り返ってみると、ほとんど何も書いていないページがちらほらある。そういえば、ぎっしりとTODOリストを書き込んでいた時期もあったけれど、ここ数年は、予定に追われるようなこともなくなっていた。

そうなのだ。手帳は、文庫本サイズで十分になっていたのだった。それでも、しつこく A5サイズを買い続けていたのは、大きな手帳があれば、たくさんの予定を書くことができ、毎日が充実するような気がしていたし、赤い革の手帳を持って歩くことで、できる女を演出したかったのだろう。

なんだか、分厚い革で覆われた中身のスカスカな手帳が、なんだか殻が分厚くて中身のない私に思えて、虚しくなってきた。

 

さあ、気持ちを切り替えよう。赤い革の手帳カバーもポイっと捨ててしまおう。そして、来年は、ぐっと小さく軽くなった手帳の小さな紙面に、何を書こうか。

私は、改めて手帳に何を書きたいのか、手帳を持ち歩いて、一体何をしたいのかを考えてみた。思うに、私にとって手帳とは、予定を書き込むもので、未来の行動を書き記すことで、今の私を形作るものだ。そうであれば、手帳には、私が楽しく過ごせるように、私が楽しいと思えることを書き込んでいこう。そして、仕事のことも、私がさまよわないように、道標として示しておこう。

ただ、書けるスペースは広くない。小さな手帳に、私の身の丈に合った小さな暮らしを作っていこうと思う。

 

 

*私を綴る エッセイまとめ

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