51-2016 10月20日
1つ500円の抹茶アイスをもらった。
スプーンですくって、ちびりちびり食べる。
抹茶の苦味に深みがあるような、ないような。
とにかく500円分の時間と心を込めて食べた。
52-2016 10月21日
どこからか漂ってくるあの匂い。
おそらく、おじさんが頭につけているであろう、あの、謎の臭いやつはいったいなんなのか、いまだにわからない。
防臭スプレーを頭からかけたい。そんな満員電車。
53-2016 10月22日
揃いの革の財布、俺はまだ使ってる。
俺の手に馴染んでいい感じになった。あいつもこうなるはずだったのだが。
54-2016 10月24日
自転車用にレインコートを探していると、君は言う。
「なかなかいいのが見つからない。どうしても顔が濡れる。」
そうだろうなぁと思いつつ、ただ、僕は微笑んだ。
55-2016 10月25日
いつもそのホテルでは、夜のラウンジで写真集を眺めるのが、私のお気に入りだ。
旅先というのに、旅の写真集を読む。
非日常の中で見る遠い世界は、私を異空間へと誘う。
56-2016 10月26日
虫眼鏡で文字を大きくして、もう一度見た。あった、私の名前だ。小さな賞でも、私は嬉しい。
57-2016 10月27日
久しぶりに手紙を書いて、切手を貼ろうとしたら、手持ちの切手はどれも80円だった。
ずいぶん長く手紙を書いていなかったことを改めて感じた。
58-2016 10月28日
旅のお供には必ずデジタルカメラを連れて、撮っては消して、食べては歩く。
夜には宿で、撮った写真を1人眺める。
59-2016 10月29日
祈るようにして、えいっと力を込めると、乾いた音を立てて、割り箸は端まできれいに割れた。
そのとき、私の心のわだかまりも弾けて消えた。
60-2016 10月30日
冷めたオムライスの上には、ケチャップがのたうちまわっていた。書いた文字を消したんだろうが、バカだけは、はっきり読めた。
*うそ日記5